肌が敏感になる理由のひとつに、「誤ったスキンケア」が挙げられます。
「皮脂は毛穴を詰まらせる」「毛穴の詰まりは美肌の敵」と考え、こまめな洗顔を心がけている方もいらっしゃるかもしれません。けれど、皮脂の取り過ぎは肌トラブルのもとになります。
皮脂は外側のほこりや菌が内部に侵入するのを防ぐ一方、皮膚内の水分が蒸発するのを防ぐ「バリア」の役割を果たしているのです。洗顔等で皮脂を取り過ぎてしまうと、バリア機能が取り去れられた状態になり、皮膚内の水分が蒸発し、乾燥してしまうのです。また、外界からの刺激も侵入しやすくなり、肌のトラブルが起こりやすくなります。
さらに、皮脂を取り去ったことで、皮膚が「皮脂をなくしてしまったので、もっと分泌して皮脂膜をつくらなければ」と勘違いして、過剰に皮脂が分泌されてしまいます。その結果、ニキビや吹き出物が出たり、肌の内部は乾燥しているのに、顔の表面は皮脂の過剰分泌でテカっている「脂性乾燥肌」になったりすることがあります。
顔には適度な脂分を残しておきましょう。
人によって程度は異なりますが、皮脂腺が詰まらない程度の状態がいいと言えるでしょう。
日々のお手入れの中でついやってしまいがちなのが「こすりすぎ」です。「強くこすることで肌に摩擦が起こります。この摩擦が敏感肌の大敵なのです。特に、水分を含んだ肌は非常にデリケートなので、少しの摩擦でも表皮の一番外側にある「角質層」の角質細胞は簡単にはがれ落ちてしまいます。その結果、角質層にすき間ができ、水分が蒸発しやすく、刺激を受けやすい状態になるのです。
お手入れの際に重要となるのが、「摩擦を最小限に抑える」ということです。
洗顔はスキンケアの中でも非常に重要です。
今一度、正しい洗顔法をチェックしましょう。
まず、石鹸はよく泡立てて。「泡立てネット」などを使ってもいいでしょう。
ふわふわの泡をつくったら、肌に軽くのせる、もしくは泡の中に顔を埋めるイメージで、手に顔を近づけます。
ここで気をつけたいのは、泡を顔に塗り伸ばさないことです。また、手のひらが肌に直接つかないようにしましょう。できれば、そのまま20~30秒ほど置いておくといいでしょう。
洗い流す際には、水かぬるま湯で行ないます。20度~25度程度がおすすめです。熱いお湯は洗浄力が強く、乾燥を引き起こしがちです。浄水を使用すると、よりお肌への刺激が少なくなるでしょう。
泡とともに汚れを落とそうとついごしごしこすってしまいがちですが、これも摩擦が起こる大きな要因です。手のひらで水をすくったら、肌に直接触れないようにしながら、顔全体を覆うようにそうっと包み込みます。そのまま2秒ほど数えたら手を放します。これを4、5回繰り返します。
そのあと、耳の脇のほうについた泡も同じ要領で落とします。すすぎ不足も敏感肌の原因になりますから、ゆっくりていねいに行ないましょう。
顔を拭く際には、タオルで顔全体を覆い、上から軽く2、3秒押さえます。決してごしごし拭きとらないでください。タオルは、やわらかく、毛羽立ちの少ないもののほうが刺激も少ないでしょう。オーガニックコットンやガーゼ、パイル生地などがおすすめです。
洗顔が終わったら、保湿です。
化粧水は規定の分量(500円玉程度)をとったら、手のひら全体にいきわたるように軽く両手でこすり合わせます。
次に、顔全体をおおうように、軽くフワッとのせます。そのまま、化粧水を顔にしみこませるイメージで3秒ほど数えましょう。
それから、こめかみやあご部分など、つけ残した部分を親指のはらの部分を使って、軽く押さえます。決してたたかないようにしましょう。
その時の肌状態に合った適量は人によってそれぞれ違いますが、規定の分量を守るようにします。多くつけすぎると、自身のバリア機能が弱まり、肌が潤いを保つ力が低下する可能性があります。数回に塗り分けて、肌触りを確認してください。肌を手のひらで触ったとき、ほんのりと肌が手に吸い付くくらいのしっとり感がわかるくらいが最適です。
それから、洗顔に関して特にお風呂で気をつけたいことがあります。
それは、頭を洗う際の「シャンプーの洗い残し」です。実は頭を洗ったシャンプーの洗浄成分が、顔に残ってしまうことがあるのです。整髪料が流れ落ちたたり、シャンプーの洗浄成分が顔に残り、それが皮膚の表面に存在する皮膚常在菌のバランスを崩し、かゆみや湿疹などの原因にもつながることがあります。
シャンプーをシャワーなどで洗い流す際には、顔を上に向け、洗浄成分が顔にかからないようにしましょう。
顔の洗い方は、「肌にそっとのせて、押し当てる」が基本です。
これは、下地クリームやファンデーションを塗る際にも応用が効きます。
丁寧に、やさしく、こすり過ぎない、を心がけましょう。